世代交代。みちのく山奥。

日本列島は連日の猛暑が続いております。

ここ、我がみちのく地方も、なんと!例年より10日以上早い梅雨明けです。

昨年などは、結局梅雨明けが特定できなかったような、そんな記憶があります。「それでこそ、緑豊かな自然の大いなる懐に抱かれた、冷涼なる東北の我が大地よ」などと作物の不作を嘆く農家の方々には申し訳ないような、少々不謹慎とも言える感想を抱いていた私です。

アトリエの前、50メートルも離れていない林の中心に大きなコナラの木があります。ここ数年のナラ枯れ現象の犠牲になって、昨年ついに枯れてしまいました。周りの木もすべて大木なので目立たないのですが、一抱えどころか大人二人がかりで抱えても届くか届かないかくらいの立派な木で、あたり一面大きなどんぐりを落としていたものです。写真でお分かりになるでしょうか?

ある特定の虫が媒介する細菌によって、一気に枯れてしまうらしいのですが、よりによって老齢の巨木が狙われることがほとんどのようで、この木も例外ではなかったようです。温暖化の影響も一因としてあるらしく、近くの森でナラ枯れが進んでいるのを実際に見聞きしてはいました。ただ、いざ目の前の慣れ親しんだ木がそうなると、やはり悲しいもので、秋のどんぐりシーズンには枯れた枝先を見上げてため息が出たものです。

先ほど、その近辺を散歩していると、ふとその木の下のあたりがほの明るいのに気が付きました。

よく見ると、日当たりのよくなった場所一面に、高山や高原に自生する、カラマツソウが群生していました。ナラの木のスケールにはもちろん遠く及ばないのですが、ミクロ的美を満々と振りまいていました。

世代交代。

悲しんでばかりはいられない。すべての命は、次から次へ移り変わっていく、むしろそれが当たり前なんだ、それでいいんだ、などと、山の中で一人悦に入っておりました。環境問題など、どこ吹く風です。

深山の線香花火「カラマツソウ」

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青 ねおんちゃん
本業、絵描きです。 みちのくの、そのまた奥の、とある国定公園の森の中。 ハーブとバラと野菜とモノづくりをこよなく愛し、追い求めて幾星霜。 みなさんに発信したいことが、今、山ほどあります。
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