みちのく山奥。我が家近くの国道。
夏も終わりに近づいたここ数日の朝方です。昼間の熱気を空気中にたっぷり含んだまま夜を迎えて、そのまま気温をがっちり下げた朝、いつもこんな具合の景色です。
太陽が出るまでのほんの数十分ですが、朝もやの水分が、緑の彩度を落ち着かせて、まるでモノクローム写真のようです。そして、不思議なほどの静寂感で、道が無限の彼方まで続いていくようです。ただの国道なんですが。
人通りはもちろん、車の往来も滅多にないこの時間、はるか遠くから近づいてくる車が一台。おそらく峠のてっぺん近くの温泉に一番風呂を成し遂げようと道を急いでいるに違いありません。朝の到来と同時に、近所のお年寄りの方々の一番風呂バトルもまた幕開けです。
なんてことはない普通の風景なんですが、この景色の中でちょうどいい点景とアクセントになって、風景全体を引き締めて完成させてくれていると思います。朝の一番風呂バトルに感謝です。
夏の国道に、たびたび訪れる朝の幽玄美。その美しい景色の中をただ温泉に向かってひた走る、みちのく山奥のお年寄りたち。山に住む者だけが享受できる幸福な時間を、これからもどんどん楽しんでほしいと思います。
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